海ほど流るる/どこであっても
海ほど流るる
男であろうが何であろうが、
水平線、満ちゆく潮
深く潜ろうが浅瀬に逃げようが
命運に満ちゆく塩。
今日、私は彼女。
滑らかに
またがる海馬に
海統べる王の淑女。
明日、私は彼に。
帰り望む船舶に
荒れる憤怒。
私は霧に、さらに
あれるだけ流るる、海ほどに。
どこであっても
どういう気持ちなんだろう
今知っていると思っていることを
知らないのは。
木の下に座り、
体を香り、
雲の流れを眺め、
笑い、話し、
陽に、月に情疼く、
どちらにも、全てに、全員に。
どういう気持ちなんだろう
無垢に戯れ、
夜、そして
日に、洞穴に、
石塔に、同様に
求められるのは。